私の周りに、どのくらいお気に入りのモノがあるんだろう。風呂に入っていて、ふと思った。それにしても「お気に入り」というからには、ちょっとした自慢のものだったり、なかなか手に入れにくい珍しいものだったりしなければならない。ということで、思いつく限り拾い出してみた。あれはどうだろう、これはいけるか、と頭には浮かぶのだが、実際にモノをいろいろ出してきてみると、意外とショボかったりして、イマイチ格好がつかない。

考えれば当然のことである。私にはコレクター癖がない。唯一、自他ともに認めるところとして「時計好き」ではあるが、コレクターと言えるほどのコレクションはないし、第一、買えるものに限界があるのだから、どうしても中途半端さは否めない。旅先で手に入れたものにしても、やっぱり中途半端だ。高価なものなどひとつとしてないのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが…。で、ここはこう自分に言い聞かせることにした。「お気に入りだったら、安いものでも、ありふれたものでも、いいじゃないか。どうせそんなものしか持ってないんだから」。

モノの写真は自然光で撮った。ちょっとカッコイイ良く聞こえるだろうけど、それしかライティングの方法がないからだった。場所は自分の部屋の窓辺に置いたチェストの上。薄汚れたキャンバス地を納戸から引っ張り出して広げ、その上にモノを置いた。クロス貼りの壁も使った。うーん、確かに写真としても統一感は出た。内容の善し悪しは別にして…。

京崎 達也


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