昔から高架下には心惹かれるものがあった。神戸では三宮や元町の高架下商店街にはよく通ったものだ。王子動物園から春日野道辺りにかけての高架下では味わい深い景色が見受けられた。住まいとしての環境はけっして満足できるものではないはずなのに、「逞しさ」とか「しぶとさ」、あるいは「厚かましさ」を感じさせる暮らしを見せていたのだ。大阪の町歩きの中で、いつかは「線路をたどる」的なことをやってみたいと思っていたので、取りあえずJR環状線沿いに歩いてみることにした。きっと何かに出会えるはずだ。
まずは我が家から一番近いところにあるJR環状線の「玉造駅」をスタート地点に、目的地は取りあえず「寺田町駅」とした。JR環状線は高架の両サイドが道路となっているところとそうでないところがある。玉造駅から次の鶴橋駅までは外側を歩いてみた。案の定、心惹かれる暮らしを垣間見ることができたのだが、厳しい住環境から抜け出す人も多いのか、無人となってしまった場所が思った以上に多かった。
高架下は昭和の風景だ。電車が走っている限り無くなることはないにしても、人が暮らす場所では無くなっていくのだろう。間違いなく、後世に残したい風景だと思うのだが、どうだろうか。

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