家族が入院したこともあって、初めて阪大病院に行った。阪神電車の福島駅を降りて国道2号線を渡り、堂島川沿いに建つ病院に向かった。今この辺りはすっかり変わってしまって、京阪電車は延線するし、阪大病院の跡地には朝日放送と高層マンションが建設されるし、ほたる街という洒落た名前までついている。 阪大病院は古めかしい建物だった。そして本館の隣には研究棟なのか、さらに目を見張るビルがあった。上の写真である。片側にはコンクリート製の四角い煙突が突き出していて、真っ白な煙を噴き上げていた。

フランケンシュタインをつくっていると言われても驚かない「おどろおどろしさ」があった。裏側に建つNTTの高層ビルとのコントラストは、大都会の光と影を見るようで、何かドキドキする景色だった。
左下の写真は阪大病院の裏側に当たる場所で撮った。棕櫚の木のせいで、どこかしらアジアチックなレトロ感も漂うが、とても医療の場とは思えない雰囲気に覆われてた。いずれにしても阪大病院の建物だ。これらの建物に比べると本館はまだマシな感じで、入院患者や通院者のためを思って改装したように見えた。とは言え、大阪の医療の頂点に立つ病院である。待合室は人で溢れていたし、入院患者を見舞う家族も多く、エレベーターをいっぱいにしていた。頭や首から何本ものチューブを出して、それこそフランケンじゃないかと思いたくなるような人が平気でエレベーターに乗ってきた。タバコを吸いにでも行っていたのだろうか。不思議な怖さに満ちた空間だった。
そんな阪大病院、この建物のままで、平成5年まで福島に存在したのだ。

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