第4号は、「消えた大阪好奇心遺産」というテーマで、写真には残っているが現在では存在しないものを取り上げてみた。いわば特別号である。 と言うと聞こえはいいが、以前につくったものの焼き直しである。 昔は今ほど大阪の町に熱心ではなかったけど、一時期ちょっと集中して写真を撮ったことがある。その集中した場所こそ「新世界」だった。
その当時は観光客が訪れることもなく、どちらかと言えばみんな避けて通るようなところで、天王寺動物園に行く家族連れは、脇目もふらずに地下鉄の駅から一目散に動物園を目指すような町だった。一見怪しげな店が建ち並び、労務者姿の酔っぱらいが路上で酒盛りをしていた。ビニール製の金髪カツラをかぶった年老いたオカマさんが闊歩し、本屋のなりをした店の奥では、ナイショのビデオを売っていた。 私にとって非日常が溢れている町、それが新世界だった。それは紛れもないカルチャーショックで、すっかり私は虜になった。

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