いしいひさいち氏の漫画はドーナツブックに限らず大好きで、バイトくんに始まって、かんばれタブチくん、忍者無芸帖、鏡の国の戦争など、かなりの数の漫画本を持っている。そんな中でもドーナツブックは、いしいひさいち氏が生み出した数々の名キャラクターが登場する集大成のごとき名著である。
第一巻が1983年発行であることから、27年に及ぶ収集歴になる。すごい!我ながら感心する次第である。その間に何度読み返したことだろう。忘れた頃にまた引っ張り出して読む。時間が経過しても、何度読み返しても必ず笑えるネタがある。絶妙のボケとツッコミ、或いはボケとボケ。笑い飯など足元にも及ばない。
そして何より感心するのが、ネタのジャンルの幅広さだ。「問題外論」では政治を、「コミカル・ミステリー・ツアー」では世界のミステリー小説をネタにボケたおすその技と知識には恐れ入るばかりだ。特に「コミカル・ミステリー・ツアー」では、私の読んでいない本が多く登場して、どこで笑えばいいのか分からないでいることもしばしば。恐ろしいほどのミステリー読書家だ。
そんないしいひさいち氏は、このところ体調を崩して「ののちゃん」の連載を休んでいる。心配である。大変心配である。毎年発刊の「大問題」はどうなるんだ。ドーナツブックはしばらく出ていないが完了したとは聞いていない。私が40巻目の発行を楽しみに待っていることなど、氏は知らないだろうが…。

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