ナマステ/ネパール顛末記

がんばる大阪代表の、大きなお世話。

朝9時にホテルを出て、まずはネパール最大のヒンドゥー寺院「パシュパティナート」へ。聖なるガンジスへつながるバグマティ川の川沿いに建つこの寺院は、大勢の参拝者と沐浴をする人であふれていた。石造りの橋を挟んだ下流側には、有名な火葬場がある。その日も火葬が行われ、辺りは薄くけぶっていた。右端の台ではこれから始められる火葬の準備が家族によって静かに行われていた。ワタシは石橋を渡った川の反対側に立ってそんな風景を見ながら、バシャバシャ、カメラのシャッターを切っていた。わざわざ日本からやって来て、まことに不謹慎なことである。

確かに文化も風習も異なる外国人ではあるが、写真を撮っているのは私を含め外人観光客だけだ。これはどうなんだろうか。いま振り返るに、旅の思い出とはいえ、ちょっと軽率な振る舞いだったような気がしないでもない。深く反省したいところである。ところが、このパシュパティナートで撮った写真にはけっこう出来のいいのが多くて、余計に申し訳なくて、は、は、は…。
寺院はヒンドゥー教徒でないと入れない。ということで、またしても川の反対側からカメラをかまえるしかなかった。寺院から川に向かって階段が伸びている。その階段を下って川辺に座り、片手で水をすくい頭を濡らしたり口をゆすいでいた。中にはそのまま川に入り沐浴をする人までいる。その場所からわずか30メートル足らずの下流では火葬された灰が流されていた。そして火葬場前の川の中には何人かの男たちがいて、灰の中に残っているかもしれない死者の金歯を捜すべく川底をさらっている。何という対比だろう。

パシュパティナートを後にして駐車場に向かう道すがら、男が道路端に仰向けに寝ていた。大阪の新世界辺りではよく見る風景だから、酔っ払って寝ているのかと一瞬思ったが、ここはネパール、もしかして行き倒れ?すると後ろから高岡氏の声が「こいつ、もう持てへんのとちゃうか」。日本だったら救急車が駆けつけるところだが、ここでは誰も見向きもしない。火葬場辺りからしつこくついて来た物売りのオヤジも知らん顔してる。インドでは道端に死人が転がっていると聞くが、カトマンズでもそうなのだ。さすがにカメラは向けられなかった。合掌。

TATSUYA KYOSAKI PRESENTS

Prev.

Next

Copyright(c)2010 TATSUYA KYOSAKI
Produced by BASIC INC. All rights reserved